招き猫(まねきねこ)とは、片方の前足を上げた猫の形をした日本の伝統的な縁起物の置物です。
主に商売繁盛や幸福を招くために店舗や家庭に飾られることが多いですね。
招き猫の「招き」という言葉は、幸運を「招く」ことを示しています。
日本古来の伝統工芸品として人気の高い「招き猫」ですが、近年様々な進化を遂げてきています。
改めてその特徴や意味、歴史を再確認し、進化する「招き猫」を見てみたいと思います。
招き猫の特徴と意味
日本古来の縁起物である「招き猫」。
その特徴と意味をまとめました。
この特徴を押さえ、招き猫の効果を最大限引き出しましょう。
手の上げ方に意味がある
招き猫は必ず左右どちらかの手を上げています。
その様子が何かを招いているような表現なので、名前の由来となっています。
左右で招くものの違いは以下の通り。
●右手を上げている
右手を上げている場合は、お金や財を招くと言われています。
金運上昇や福徳を得たいと願う時には右手を上げている招き猫を飾ります。
物理的な金銭を望むニュアンスがありますね。
●左手を上げている
左手を上げている場合は、人やお客を招く意味があります。
商売繁盛、千客万来など商売に関するご利益を願う場合にはこちらを飾ります。
良縁を招くということで、結果として金銭に恵まれることにもつながりますね。
●両手を上げている
ごくまれに両手を上げているものもあるようですが、これは微妙です。
一見、お金と人の一挙両得だと思われるかもしれませんが、その姿が「お手上げ」のように見えることから、敬遠されることが多いといわれます。
何事も欲張ってはいけないということでしょうか。
手の高さに意味がある
実は上げている手の長さで意味が違います。
●手が耳よりも高い
上げている手が猫の耳よりも長いものは「手長」と呼ばれます。
「手長」は遠くの福を招いていると言います。
遠いということはそれだけ大きな福であるとされます。
時間をかけて大きなビジネスや人脈を得たいと願う場合にはこちらでしょう。
●手が耳よりも低い
上げている手が猫の耳よりも短いものは「手短」と呼ばれます。
「手短」は身近な福を招いていると言います。
すぐ近くの小さな幸せを招くとされ、見落としがちなささやかな幸せなどを気付かせてくれそうです。
招き猫の色にはどんな意味があるのか
様々なバリエーションが楽しい招き猫ですが、中でも色には多くの種類があり、それぞれには意味があると言われています。
●白:最も一般的な色です。「開運招福」や「商売繁盛」の意味を持ちます。
●黒:「魔除け」や「厄除け」の意味があり、主に家内安全を願うのに用いられます。
●金または黄:「金運上昇」や「財運」を願う時にはこちらでしょう。
●赤:「無病息災」や「健康長寿」など、主に身体に関してや病気除けなどの意味があります。
●青:「交通安全」や「学業向上」などの意味があるとされます。
●緑:「学業成就」や「必勝合格」などの勝ち運の意味があるとされています。
●紫:こちらも「健康長寿」の意味があるとされます。
●ピンク:「恋愛成就」など良縁祈願に用いられます。
招き猫の歴史と由来
日本古来の縁起物とされている招き猫ですが、その起源はどのようなものなのでしょうか。
その歴史と由来を見てみましょう。
招き猫の起源
招き猫の起源にはいくつかの説があります。
最も有名なのは江戸時代の豪徳寺にまつわる伝説でしょう。
江戸時代の東京・豪徳寺(現・世田谷区)。
ある日、鷹狩りの帰りにここを通りがかった殿様が、お寺の門前にいた和尚の飼い猫に手招きされます。
不思議に思ったその殿様、その手招きに応じてお寺に立ち寄ることになります。
寺でくつろいでいると、突然の雷雨がおこります。
激しい雷雨を避けることができただけでなく、和尚との楽しい時間も過ごせた殿様は、その幸運に感動したそうです。
この殿様こそ彦根藩の二代藩主である井伊直孝でした。
豪徳寺は、その縁で井伊直孝に支援を受け、寛永10年(1633年)再興されます。
その後、豪徳寺では福を招いた猫を「招福猫児(まねきねこ)」と呼んで祀ることとなります。
これが招き猫の起源と言われています。
この猫好きの殿様である井伊直孝にちなんで生まれた有名なゆるキャラがいますね。
滋賀県彦根城のゆるキャラ「ひこにゃん」は、毎年多くの観光客を呼び寄せる日本一の「まねきねこ」となっています。
豪徳寺:豪徳寺と招き猫|大谿山 豪徳寺
艶っぽい起源も
縁起物として商店や飲食店、各家庭などで多く見られる招き猫ですが、もともとは艶っぽい用いられ方もされていました。
江戸時代、「金猫銀猫」と呼ばれる招き猫が多くの娼家に飾られていたそうです。
風俗文化は昔からあります。
なまめかしく手首で人を招く姿は、たしかに遊郭などで格子窓から男を招く風情に似ていなくもありませんね。
この文化が広まっていく中で、現代の形へと進化したのではという説もあります。
進化する招き猫
近年、インバウンドで日本を訪れる外国人観光客に大人気なのが「招き猫」です。
カムカムキャットと呼ばれて昔から人気でしたが、現代のブレイクには驚くばかりです。
その要因は、多様化するデザインと高い芸術性でしょうか。
伝統l工芸品としての「招き猫」だけでなく、現在では様々なコンセプトの招き猫が作られています。
形や色も伝統的なものを有しながらも、オリジナルティあふれる物も多くなってきています。
企業や作家が新しい感性で作り出す招き猫。
エキゾチックジャパンなお土産として多くの観光客から支持されてきた招き猫が、今また新たな進化を遂げているようです。
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