「新世紀エヴァンゲリオン」や「ふしぎの海のナディア」など、多くの大ヒット作で知られるアニメ制作会社・ガイナックス。
このガイナックスが破産したというニュースが飛び込んできましたね。
あれだけの大ヒット作を重ねてきた制作会社が破産するとは驚きでした。
一体どんな理由があったのでしょうか。
ガイナックスの破産の理由は内部崩壊
創設当初は勢いのあるベンチャー企業だったガイナックス。
「王立宇宙軍 オネアミスの翼」で注目を集め、「トップをねらえ!」や「ふしぎの海のナディア」のヒットでアニメ制作会社として大きく躍進をしていきます。
そして社会現象にもなった「新世紀エヴァンゲリオン」の大ヒットで巨大企業へと急成長を遂げました。
しかし、ヒット作を生み出していく過程で色々と内部から問題が沸き起こっていきます。
問題① 粉飾決算事件騒動
「新世紀エヴァンゲリオン」の大ヒットを受けて、「新世紀エヴァンゲリオン」の関連商品の窓口がガイナックスに移ります。
ここから色々と歯車が狂い始めます。
1999年、ガイナックスと当時の代表取締役に対して、所得隠しによる5億8000万円の脱税容疑を東京国税局から告発されてしまいます。
この騒動で当時の代表取締役は辞任となってしまいました。
問題② 庵野秀明の独立
ガイナックスの顔ともいえる庵野秀明さんが2007年に「カラー」という映像制作スタジオを設立して独立しました。
この背景には、ガイナックスへの強い不信感があったようです。
脱税事件の後、代表取締役に就任した庵野秀明さん。
経営健全化を目指して様々な改善を試みるも、その意見は全く見向きもされなかったそうです。
変わらず続く放蕩経営ぶりに、堪忍袋の緒が切れる形となったのでしょう。
問題③ 主力スタッフの相次ぐ脱退
庵野秀明さん脱退の後、その後を追って有力なスタッフがどんどん退社していきました。
加えて庵野秀明さんがガイナックス在籍中に手がけた作品の版権も「カラー」へと移ります。
主力スタッフや制作陣の大量脱退は作品制作に大きなダメージだったことでしょう。
問題④ 支払い訴訟騒動
2007年に退社した庵野秀明さんは、ガイナックスと作品の使用料に関するある契約を結んでいました。
庵野秀明さんがガイナックス在籍時に手がけた作品。
これらを商品としてガイナックスが収入を得た場合に、使用料を支払うというものでした。
ところが多額の債務を抱えるガイナックスは支払いが滞ります。
加えて庵野秀明さんが経営する会社「カラー」から1億円の借入までありました。
これらの支払いを求めて訴訟騒ぎになりました。
このあたりから世間でガイナックスの資金繰りの危うさが報じられてきたように思います。
問題⑤ 社長の不祥事騒動
2019年12月、当時の代表取締役が、未成年女性への準強制わいせつ容疑で逮捕されるという事件がおこります。
この事態の収束を図るため、会社役員の総入れ替えを行いましたが時すでに遅しでした。
これがトドメをさす形となってしまいました。
ガイナックス破産の原因はエヴァンゲリオンだった?
様々なトラブルの末に、制作会社としての機能を果たせなくなり破産という道へ進んでしまったガイナックスですが、根本の原因は何だったのでしょうか。
一部でささやかれている理由はなんと「新世紀エヴァンゲリオン」の大ヒットです。
この作品によって大きな力を得たガイナックス。
各種グッズの版権収入は莫大な利益を自動的に生んでいきました。
そのため企画や事業コストなどに関しての浪費体質が定着してしまったという指摘がありました。
- 雑な飲食店経営
- 無計画な子会社設立
- 運営幹部個人に対しての高額な無担保貸付
- 投資ともいえる作品の失敗
これらの乱脈経営や企業体質の悪化が徐々にガイナックスを蝕んでいったのでしょう。
これにより優秀な人材の流出が続き、制作会社としての運営が難しくなっていったのでしょう。
社会現象にまでなった名作が、巡り巡って内部崩壊の原因になったというなんとも皮肉な結果ですね。
ガイナックス再建はあるのか
破産申告をしたからといって、その企業が跡形もなく消えるということはないようです。
実際には庵野秀明さんが独立して立ち上げた株式会社「カラー」が、株主や債権者として事態の改善に力を注いでいたそうです。
しかし様々な手を打ったにもかかわらず、今回の破産申し立てに至ってしまったことに対して無念のコメントが出ていました。
「最後に、40年弱の歴史を持つアニメーションスタジオがこのような最後を迎えてしまい、残念でなりません」
引用元:産経新聞
ガイナックスは消滅してしまうのか。
知的財産や商標、資料などは失われてしまうのか。
これに関しては、庵野秀明さんからコメントが出ていました。
- ガイナックス(GAINAX)の商標や称号はカラー社が取得管理している
- 「新世紀エヴァンゲリオン」の著作権も保有している
- ガイナックスが管理する作品の今後の運用については後日発表予定
- ガイナックスは複数存在する各種法人とは無関係である
今後の展開も様々な案がありそうですね。
いずれにせよ、ガイナックスの再建はまだまだ先の話になりそうですね。
歴史に残る名作を制作してきた老舗の破産というニュースは大きなショックでした。
無念の声があちらこちらから聞こえてきますね。
またいずれ、何かの形でガイナックスが再建されることを願って止みませんね。
最後までお読みいただき有難うございます。
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