京都御苑の東側に鎮座する梨木神社を訪れました。
創建は明治時代と新しい神社ですが、境内に咲き誇る萩の花や、京都三名水「染井」で知られる趣のある神社です。
梨木神社・概要
京阪電車「神宮丸太町駅」、または「出町柳駅」から徒歩約十五分。
市バス「府立医大病院前」下車徒歩約三分。
明治十八年(1885)創建。
明治維新の功労者、三條實萬(さねつむ)公・實美(さねとみ)公父子を御祭神として祀り、三條家の旧邸が梨木町にあったことに因んで名付けられたとあります。
御祭神・三條實萬公 實美公
實萬公は、光格、仁孝、孝明の三代の天皇に仕えられ、皇室の中興に尽くされたため、安政六年(1836)薨去の後、「忠成公」のおくり名を賜られた。
實美公は、幕末の尊王攘夷運動の先頭に立たれ、長州藩が都を追われた政変の際には、「七卿落ち」の苦難にもあわれましたが、維新後の新政府では太政大臣や内大臣など、政府要職を歴任されました。
この辺りのエピソードは、幕末、明治維新を扱ったドラマや小説などではよく登場しております。
萩の宮
九月中旬頃から、境内や参道に萩の花が咲き乱れ、あちらこちらで薄いピンクや白い花が見られます。
まさしく「萩の宮」と呼ぶのに相応しい情景ですね。
毎年九月第三、または第四日曜日前後に萩まつりが行われます。
弓術、居合、舞踊などが奉納されます。
京都三名水「染井」
京都は良質の水が湧く土地です。
伏見の酒蔵や山崎の蒸留所が盛んなのは、その恩恵が大きいからでしょう。
市内に湧き水を汲める場所も多くあり、生活飲料水を汲みに来る人々が絶えません。
こちらの「染井(そめい)」は、「佐女牛井(さめがい)」「県井(あがたい)」と並んで京都三名水と呼ばれ、その中でも未だに枯れずに現存する唯一の名水なのだそうです。
名前の由来は諸説あるらしいですが、宮中御用の染所として、この水が用いられたからではないかというところです。
境内にある茶室を改装した「COFFEE BASE NASHINOKI」では、この染井の名水を使ったコーヒーなどを楽しめます。
境内の様子
春に山吹、秋に萩と、花や緑の美しい神社ですが、他にも色々見るものがあります。
〇御神木 愛の木・・・葉がハートの形をしている桂の木。
〇天壌無窮の石碑・・・皇室の弥栄を祈り、實萬公が軸に書かれたものを、後に石に刻まれたもの。
〇湯川秀樹博士の歌碑
〇上田秋成翁の歌碑
まとめ
梨木神社は、明治創建の新しい神社ではありますが、幕末維新の重要人物を祭神とし、別格官幣社として風格ある佇まいです。
名水「染井」を汲むこともでき、萩の花など四季折々豊かな風情を楽しむことのできる場所です。
京都御苑に行かれた際には立ち寄られてはいかがでしょうか。
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